『ねずみ女房 (世界傑作童話シリーズ)』 (2010 030)

見た目は他のねずみと同じですが、ねずみ女房は、ちょっと変わったねずみでした。

自分のまだ知らないものを見たい、という欲求を持っていたから。
そんな小さなねずみ女房が、ある日、つかまえられたハトと出会います。
ハトは鳥かごに閉じこめられているのですが、ねずみ女房に心を開き、外の世界での自分の経験を話して聞かせます。
ねずみ女房の夫ねずみは、彼女が出かけていくのが気に食わず、ある日帰宅した彼女の耳にかみつきます。DVだ!!! 「チーズのことを考えてはおれんのかね?」とか「でなかったら、おれと遊べ」とか言った挙げ句、クリスマスケーキの食べ過ぎでお腹をこわして寝込み、食べ物すら集めに行かない夫ねずみ。その上にDVとは。でも、ねずみ女房は、根に持つこともなく「困ったひとだわ」くらいの感じで、受け流してるんです。被害者意識ゼロなところがすごい。
赤ちゃんねずみも生まれ、ハトのところへ行けなくなるねずみ女房。
それでも、何とか出かけていってみると、ハトは、もうねずみ女房がどこかへ行ってしまったのかと思って、食事も食べず、絶望して弱ってしまっています。ねずみ女房と再会して、泣いちゃうハト。この辺り、かわいそうでかわいそうで、もらい泣きしました。

結末は、私としてはとても納得のいくハッピーエンドでした。
この本が最初に翻訳されて日本で出版されたときに、これは童話ではなく、不倫小説だ! というようなことを言った人がいたそうですが、お門違いも甚だしい(笑)
子ども向けの童話の本ですが、大人にもお勧めです。
挿絵が本当に素晴らしい。ねずみ女房のかわいらしさ、強さを表しているだけでなく、彼女の寂しさ、ハトの悲しみ、絶望、とまどい、喜びなどが、ひしひしと伝わってきて、物語ととてもマッチしている絵なのです。この挿絵がなかったら、あんなに感情移入しなかったかも。

ねずみ女房 (世界傑作童話シリーズ)
ルーマー・ゴッデン ウィリアム・ペン・デュボア

ねずみ女房 (世界傑作童話シリーズ)
人形の家 (岩波少年文庫) そして、ねずみ女房は星を見た〈大人が読みたい子どもの本〉 まぼろしの小さい犬 時の旅人 (岩波少年文庫) Charlotte's Web (Trophy Newbery)
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今日は久しぶりに豊中キャンパスに行ってきました。
YIさんに、宙にてランチを食べつつ相談に乗って頂き、その後はグローバルリーダーシップ・プログラム運営委員会の打ち合わせ。阪大の図書館のグループ学習室、快適で良かったです。
2010年11月5日(金)-7日(日)のまちかね祭(大阪大学大学祭)にて、マラリア予防キャンペーンをやります♪
近畿地方にお住まいの皆さま、ぜひ11月7日は阪大豊中キャンパスにお越しくださいませ。