『東大で教えた社会人学 人生の設計篇』 (2010 006)

去年『公衆衛生』を読んでいたときに、この本を読もうと思い立ったのですが、何がきっかけだったのか思い出せません。

何となく知っている(それなりの期間社会人をやってきましたから)ことも書かれていましたが、学ぶべきこともたくさんありました。38歳以下の人は一読の価値アリ。

p. 40
経済が発展して生活水準が上がれば、食生活も変化する。穀物を食べていた人が肉を食べるようになる。その肉を育てるために今まで食べていた穀物を牛や豚や鳥に食べさせる。穀物を直接人間が食べる場合と家畜に食べさせる場合とではエネルギー効率が三〜五倍違う。牛一頭育てるためには、人間が食べる量の六倍の穀物が必要だ。

本によって数字は違いますが、肉食のエネルギー効率が悪いことは明らか。誰も飢えなくて良いように、そして将来食糧の争奪戦を繰り広げなくて良いように、肉を減らして穀物・野菜・果物を食べよ?とベジとしては声を大にして言いたい。

pp. 110-114
成功する技術者の要件
・物事の本質を一言で表現できる人
・マクロに全体を把握し、方向性を示すことができる人
・所属する部、課などの組織を統括し、求心力の中心となれる人
・自分なりの尺度を持ち、物事の価値や当否を判断できる人
・他人が代替できない抜群の能力(技術だけに限らない)を持っている人
・技術力があり、独創性を発揮できる人
・ハードだけではなく、ソフトを理解して、ハードとソフトを融合させられる人
・対外的に言ったことを確実に実行し、約束を守る人
・人をいわれなく差別しない人
・人から頼られる人、人の痛みがわかる人
・存在感があり、親分としての行動様式を知り、風格がある人
・コミュニケーション能力の高い人
・運の強い人

この場合の成功とは、会社で認められたり、出世するといった社会的な成功、だそうです。上記の要件を全部兼ね備えている人がいたら、間違いなく惚れます(笑) 「技術」をcompetencyに置き換えれば、(技術者に限らず)成功する人の要件そのままです。下から2番目の「コミュニケーション能力」とは、もちろんイコール「言語能力」ではありません。

pp. 188-189
親分の資格条件を思いつくままに挙げよう。
年上(年下ではやはり親分に担ぎにくい)。知恵持ち。金持ち。器量持ち。
経済的に自立した人。品格のある人。マクロな視点を持っている人。責任の取れる人。信頼できる人。圧倒的な能力・実力を持っている人。度量の広い人。子分を大事にして、子分の身になって考えられる人。
ちょっと鈍いことも親分の大事な資質だ。やたらなことではオタオタしない。繊細な親分に仕える子分は疲れる。
一方で子分にも資質が要る。親分に恥をかかせる子分ではいけない。
まず親分の役に立つこと。持ちつ、もたれ津。互恵関係のない人間関係は長続きしない。親分・子分の関係も例外ではない。自分が小さな親分になってみると、役に立たない子分を持つ辛さがよくわかる。時には親分の相談に乗れるくらいの専門能力や知識があると頼りになる。何より大事な局面で親分の期待を裏切らないことだ。
親分を立てるのも子分の勤めだ。親分をないがしろにするのはご法度。礼儀をわきまえるのも必要。だからといっておもしろみがない子分というのも親分は疲れる。気のおけない子分になりたい。
親分の出番をわきまえることも大切だ。交渉事で最初は子分が前線に立つが、最後の落とし所を決めるのは親分の役目。親分がいると二枚腰で戦える。
それから親分にあまり面倒をかけないこと。面倒をかける子分は可愛いというけれど、程度がある。子分といっても、自立していることが大事だ。
親分・子分の関係では親分の判断は絶対だ。子分は親分に判断を預ける。親分は自分の能力の及ばないところで判断しているのであって、違うと思っても、「しょうがない」と考えて従う。それが間違っていたら、その人を親分に選んだ自分が悪いだけのことだ。
親分との利害が対立した場合には、当然、親分の利益を優先させる。子分は普段、親分の言動からさまざまなものを学ばせてもらっているのだから。
親分には親分道があるし、子分には子分道がある。その道を守らなければ親分・子分の関係は成り立たない。そもそも子分が全幅の信頼を寄せて子分道に邁進できないような人は親分として失格なのだ。

過去を振り返ってみても、今の状況を鑑みても、納得するところが多々ありました。

東大で教えた社会人学 人生の設計篇

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