『ボクは算数しか出来なかった (岩波現代文庫)』 (2009 060)

1学期に医事法の講義をしてくださった阿部隆徳先生お勧めの一冊。

pp. 20-21
代数学』を読むのは決して楽ではなかった。わからない証明をわかるまで何度も繰り返し、ノートに写したりして苦心惨憺した。そのときの経験によると、わからない証明も繰り返しノートに写して暗記してしまうと、自然にわかってくるようである。

ただぼうっと写して暗記しても駄目なんだろうな。理解しようと努力しつつ、手を動かして「書く」ことでわかるようになるのは、私も経験があります。

p. 35
この頃から数学の本を読むときには別証を考えたり、実例や反例をつくったりしながら読む習慣がついた。

本を読むときは、もう少し頭使え?と言われている気がしました。

 

pp. 39-40
年度末の試験のときには、その数週間前に河田敬義さんからノートを借りてきて写した。河田さんのノートは実に詳しく、先生の言われたことは全部書いてあった。もちろん、複写機などというものはなかったから手で書いて写したのである。ノートを整理しながらていねいに書き写して行くと、それだけで講義の内容は自然に頭に入った。

整理しながらていねいに書き写して行かないといけないのですね。

 


pp.148-149
翌四十三年の夏に東大紛争がはじまった。それがまるで流感のように日本全国に広がった。不可思議な現象で、私には理解できなかった。しばしば団交が行われて、教授達が学生に専門バカと罵倒された。
ある日、紛争に対する理学部の意見をまとめるからめいめい意見を書け、という回覧板が回って来たので、私は「専門バカでないものは唯のバカである」と書いて出した。そうしたら、この句がそのまま理学部の意見の中に採用されて有名になった。

「専門バカでないものは唯のバカである」
この一文を実際に読みたくて、この本を手に取ったのでした。あーすっきりした。面白かった?★



ボクは算数しか出来なかった (岩波現代文庫)

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