『自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝』 (2008 010)

『自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝』読了。

科学の進歩のためには、人体で試すことがどうしても必要であり、その場合は自分の体で試さねば、という信念のもとに実験を続けた勇敢な科学者たち(と1名の一般市民)のエピソードを集めてあります。
どの章も圧巻。自分を実験台にして、寿命を縮めたり、その過程で命を落としてしまった人もいます。

おさめられているのは、以下の10章。
第1章 あぶり焼きになった英国紳士たち
第2章 袋も骨も筒も飲み込んだ男
第3章 笑うガスの悲しい物語
第4章 死に至る病に名を残した男
第5章 世界中で蚊を退治させた男たち
第6章 青い死の光が輝いた夜
第7章 危険な空気を吸い続けた親子
第8章 心臓の中に入りこんだ男
第9章 地上最速の男
第10章 ひとりきりで洞窟にこもった女

200年以上も前(1770年代)に、胃と腸の働きを解明するべく自分の体で消化の実験をしたラザロ・スパランツァーニの章が特に印象深かったです。彼が筒に入れて飲み込んだ数々の物(パン、子牛の肉、ハトの心臓、硬いブドウの実、軟らかいブドウの実、硬いサクランボ、軟らかいサクランボ、牛の横隔膜、骨、貝殻、サンゴのかけらなど)、その徹底した実験方法(条件を変えて飲み込んだり、何度も胃液を吐いたり)がとにかく凄い。


自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝自分の体で実験したい―命がけの科学者列伝
レスリー・デンディ メル・ボーリング 梶山 あゆみ


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