『自分の仕事をつくる』

『自分の仕事をつくる』を読みました。

自分の仕事をつくる
西村 佳哲

発売日 2003/10/01
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大学時代のサークルの先輩、Hさんと数年ぶりに会ってご飯を食べたとき、彼女が勧めてくれた本です。
「働き方研究家」という面白い肩書きで、西村氏はこの本を書いています。
目次は、以下のとおり。

1 働き方がちがうから結果もちがう
 ・八木保さんをサンフランシスコに訪ねる
 ・象設計集団を北海道・帯広に訪ねる
 ・柳宗理さんを東京・四谷に訪ねる
 ・IDEOのデニス・ボイルさんをパロアルトに訪ねる ほか

2 他人事の仕事と「自分の仕事」
 ・植田義則さんのサーフボードづくりを訪ねる
 ・甲田幹夫さんのパンづくりを訪ねる
 ・ヨーガン・レールさんのモノづくりを訪ねる
 ・馬場浩史さんの場づくりを訪ねる ほか

3 「ワーク・デザイン」の発見

この中に出てくる甲田幹夫さんの「ルヴァン」の信州上田店を、先日、本当に偶然発見しました。

「ルヴァン」信州上田店入り口。
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朝ごはんに焼きたてのパンを頂きましたが、中身がぎっしり詰まった、とてもしっかりした美味しいパンで、私は好きでした。

この本を読んでいて、ハッとさせられた箇所を引用します。

      • <以下引用>---

(Pg. 245)
 仕事とは、社会の中に自分を位置づけるメディアである。それは単に金銭を得るためだけの手段ではない。人間が社会的な生き物である以上、生涯における「仕事」の重要性は変わることがないだろう。自分が価値のある存在であること、必要とされていること。こうした情報を自身に与えてくれる仕事には求心力がある。あらゆる仕事はなんらかの形で、その人を世界の中に位置づける。畑仕事のような個人作業でもそうだ。自然のサイクルの中に、自分の存在を確かめることができる。

(Pgs. 256-257)
 人は能力を売るというより「仕事を手に入れる」ために、会社へ通っている。そんな側面はないだろうか。
 首都圏のワーカーは、片道平均八〇分の時間をかけて満員電車に乗り、会社へ通う。決して楽とは言い難いその行為を毎日くり返す理由は、自分の求める「仕事」が会社にあって、近所ではそれを手に入れることが出来ないからだ。
 先にも触れたとおり、仕事は自分と社会と関係づける重要なメディアである。日本のような企業社会では、「仕事」という資源はとくに会社に集まっている。私たちは野菜や食料を買うためにスーパーマーケットへ出かける。それと同じく、会社とは、「仕事」という商品の在庫をかかえたスーパーマーケットのようなものだと考えてみる。小さな会社は、商品(仕事)の品揃えが少ない。大きな会社は売り場面積も広く、商品(仕事)の品揃えや種類も豊富だ。
 自宅に畑があり、近隣であらゆる食材が手に入るとしたら、スーパーには通わない。少なくとも依存的にはならないだろう。しかし私たちは通う。自給自足する手段を持っていないからだ。ワーカーが能力を売っているというより、会社が「仕事を売って」いるのである。

 ところで、私たちが会社から仕事を買っているとしたら、そこで支払っている対価はなんだろう。
 それは「時間」である。そして時間とは、私たちの「いのち」そのものである。

      • <引用終わり>---

今私がしている仕事は、私にとっては矛盾だらけです。
そんな矛盾だらけのことをするために、自分の時間、自分のいのちを使っているのかと思うと、膝の力が抜ける気がします・・・。